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日本人に本物のパンを教えてやる!と意気込んで来日したフランス人。しかし穴のあいていない○○を見て気を失いそうになった。

YouTube/Nippon News 24

日本文化に魅了されて来日する外国人は後を絶ちませんが、今回紹介するのも思わぬところから日本にハマってしまった外国人の一人です。
広島県 東広島市 西条の小さなパン屋さん。朝早くにパンの仕込みを始めるフランス人男性の姿がメディア等で紹介され、話題になっています。その名もルメ・パトリックさん。一体どうしてこの場所にたどり着いたのでしょうか。

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フランス・パリ郊外で生まれたパトリックさんの小さな頃からの夢は、パン職人になること。中学卒業後にはもうすでに本格的にパン職人の道を進み始めていました。そんなパトリックさんに転機が訪れたのは21歳になったとき。日本にいた知人のすすめで、たまたま日本で働くことになったのです。

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パトリックさんは「日本人に本物のパンの作り方を教えてやる!」という意気込みで来日したそうです。それもそのはず。フランスパンにクロワッサン…フランスはパン食の文化が深く根付いており、まさに「パンの本場」と呼ぶにふさわしい国。そんな場所で少年時代から研鑽を積んで来ただけに、パン作りに対する誇りは高いものでした。パトリックさんは当初「日本人がパンを食べているイメージが全くなかった」と言います。

しかしいざ日本に到着してみると、パトリックさんの抱いていた幻想は見事に打ち砕かれます。フランスでは一般的なパン屋さんで売られているパンは20種類ほどですが、日本のパン屋さんを訪れたときそこには母国フランスでは見たこともないようなパンがずらりと並んでいました。あんパン、食パン、カレーパン、クリームパンにメロンパン…100から200種類はありそうなその豊富な種類のパンにパトリックさんは魅了されます。

しかしさらに驚くべき発見が。日本のパンを手に取ってよく観察してみると、そこにあるべき「あるもの」がどこにも見当たらないのです。
この謎を解明しなければ…そう思いパトリックさんは日本スタイルのパン作りにどんどんのめり込んでいくようになります。

フランスではパンの具材は基本的に挟むか注入するかのどちらかだそうです。しかし日本のあんパンを見て気づいたこと、それはどこにも具を注入するための穴が開いていないということでした。日本でよく見受けられる「具材を包んで焼く」という発想は、フランス人のパトリックさんにとって新鮮だったのです。

そして滋賀県や神戸市でパン作りの修行を続ける中で、パトリックさんはあることに気がつきます。それは日本人がパンを文化の一部として愛しているということ。母国フランスの人々と負けずとも劣らない日本人の「パン愛」に、パトリックさんの心はさらに惹きつけられます。

そして運命の出会いが訪れます。神戸の名店ベーカリー『ビゴ』で修行中に出会った日本人の花愛さんとロマンスが芽生えたのです。二人は結婚し、ついにパトリックさんは生きる地を日本に定めました。

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そして10年前、パトリックさんはついにパリと日本での修行を終え独立、花愛さんの実家のある西条へ移住し、自分の店をオープンさせることになりました。住宅地の中にこじんまりした出で立ちで店を構える『LAPAIN』。小さな道が入り組み、わかりづらい場所にあるにも関わらず、早朝のオープン時からお客様はひっきりなしに訪れると言います。

自慢はもちろん、パトリックさんの鋭い感性から放たれるパンの数々。日本の気候や環境で、パリと同じレベルのパンを生み出すために素材選びや発酵工程を研究し続けています。しかし基本に忠実であると同時に、オリジナリティ溢れるものを作り出すこともパトリックさんにとって大切です。

 

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パトリックさんはこう言います。
「フランス人はただ基礎を守る。しかし日本には学んで真似てそれを超える精神がある。だから日本人は無限のパンを考える」

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いかがでしたか?こんなことが起こるとは来日当初、パトリックさんは夢にも思わなかったことでしょう。パンを知らない人々にパン作りを教えてやろうという気持ちから始まったこの旅でしたが、教えるつもりがいつの間にか教えてもらう立場になっていたことはパトリックさんにとって新鮮で嬉しい驚きだったに違いありません。心をオープンにしていれば、思わぬところからどんなことでも学べるのかもしれませんね。皆さんももし西条に寄る機会があれば、ぜひ『LAPAIN』を訪れてみてくださいね。