ちえとくをフォローする

えらい

この男性は自然分娩を迎えた。彼が投稿した写真が大きな反響と感動を巻き起こす。

トリスタン・リースとビフ・チャップロウは、アメリカ・オレゴン州、ポートランドに暮らす同性の夫婦です。2人が結婚するまでの道のりは、多くのLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー/セクシュアルの総称)の人々と同様、困難続きでした。特にトランスセクシュアル(トランスジェンダー)であるトリスタンが周囲から偏見を抱かれ、差別されることは少なくありませんでした。

トリスタンの出生時の性別は女性。心と体の性別に差があり、現在はホルモン治療や肉体改造を通じて男性として生きています。

トリスタンとビフとの間には、2011年に親類から養子として引き取った男の子と女の子がいます。養子を2人迎えた後、夫婦の願いは実子に恵まれることでした。

男性同士の夫婦が実子を産むことが可能なの?と思う人もいるかもしれませんが、トリスタンは性別移行する際に生殖器を残しておくことを選択していました。つまり、見た目も振る舞いも男性になりますが、性機能的には女性ということになります。それについて、トリスタンは次のように思いを語っています。

「自分の身体は生まれながらの贈りものだと感じています … 子宮があって妊娠できる男性であることに問題はありません。それで男性らしさが損なわれるとは思いません。自分がたまたま、妊娠できる男性だったというだけです」

2016年の6月、トリスタンは妊娠6週目で流産を経験しています。この出来事を乗り越え、再チャレンジすることを決心したのは1年後のことでした。

出産に備えて男性ホルモンの服用は数カ月前から中止し、医師のサポートの元入念に準備を進めました。再び妊娠したことが分かったときには家族で大喜びでした。

妊娠中は、毎週の体重測定を欠かさず、気づいたことは書き留めて必ず医師に相談するなど健康管理を出来るだけ詳細に行うよう心がけていたトリスタン。

しかし男性が妊娠していることについて、SNSなどを通して中傷を受けることが度々ありました。

普段も通勤や買い物で外に出る際は、否定的な感情を抱く人との衝突を避けるためにも、できるだけお腹が目立たないように覆い隠す工夫をしていました。自宅以外でお腹を気兼ねなく見せることができたのは、職場と病院だったと言います。同僚たちや医療スタッフは、トリスタンと家族を温かくサポートしてくれました。

そして7月14日、トリスタンは自然分娩で4000グラムの元気な男の子「レオ」を無事出産しました。

産後の経過は順調で、上の2人の子供達ももちろん小さな弟の誕生を喜んでいるそうです。トリスタンは、LGBTの若者たちにも次のようなメッセージを発信しています。

「LGBTの人たちが家族になれる方法は何万通りもあります。人生を生きる方法も何万通りもある。子供を持ち結婚することを選択するなら、その方法を選ぶことはできるのです」

LGBTの人々が経験する難しさのひとつは、その存在が社会で想定されていないところにあります。今は驚くべきニュースとして報道されるトリスタンの妊娠も、いつか珍しくない話題として受け入れられる時代が来るのかもしれませんね。その姿は、多くのに勇気と希望を与えています。

 

プレビュー画像: ©️facebook.com/Biff and I