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20歳の老猫を引き取った家族

年老いた犬や猫は、保護施設に預けられてもほとんど引き取り手がないのが現状です。病気にかかりやすく、医療費がかさむ可能性があるということ、そして新たに家族として迎え入れた動物が数年でこの世を去ってしまうのは悲しすぎるというのが大きな理由でしょう。でもアメリカ・ユタ州に暮らすこの家族は、動物を受け入れるのに遅すぎるということはないことを証明しています。

ウィリアムズ一家は、すでに3頭の大きな犬を買っていましたが、7歳と5歳になる息子たちは猫を飼いたくて仕方ありません。毎日の息子たちの「猫飼いたい」攻勢に降参した母親のジルは、とうとう猫をもらいに保護施設に向かいました。

「施設にいた猫は、大きいのも小さいのもみんな新しい家に行きたくてたまらなようでした」ジルは言います。ふとジルの目に留まったのは、20歳のデクスターでした。1匹でポツンと離れて座り、ジルを見つめていました。「デクスターは私にニャーニャー鳴き続けていました。デクスターの前に膝をつくと、私の足にまとわりつき、腿に手をのせてきました。この子も安心して暮らせる家が欲しいんだと強く感じました」ジルは言います。

Youtube/Jill Williams

当初は子猫をもらってくる予定でしたが、ジルはデクスターに決めました。ちなみにこの決定は保護施設にいた他の猫にとってもとてもありがたいものだったようです。なにせデクスターはどの猫とも折り合いが悪く、いつも喧嘩ばかりしていたのだそうです。

直感的にデクスターしかいないと感じたジルでしたが、子どもたちはこんな老猫、一体どう思うだろうかと心配し始めました。考えてもみれば、やんちゃ盛りの男の子2人と3頭の大型犬がいる家で暮らすのは年老いた猫にとっても大変なことかもしれない…不安が募っていきます。

Youtube/Jill Williams

ところが、息子たちはデクスターに会った瞬間すぐに夢中に。デクスターもやんちゃな男の子たちをさほど嫌がる様子はありません。「デクスターは若い猫のように素早く動くことはないし、オモチャに夢中になることもないし、毛並みもきれいではないけど、息子にとってはデクスターは毛もじゃの大親友です」ジルは言います。

Youtube/Jill Williams

3頭の犬たちも、最初は新入りに興味津々でクンクン匂いを嗅いだりちょっかいを出したりしていたものの、今ではちょっと変わった仲間の一員として認めているよう。老猫はこうして安住の地を見つけたのです。

Youtube/Jill Williams

「数ヶ月もすると、デクスターは肉付きが良くなり毛並みもずっと良くなりました。誰が撫でても嫌がらず、気持ち良さそうにしています」とジル。「デクスターは、家族と一緒にいるのを好む猫なようで、私たちと今で一緒にテレビを見たり、犬たちの寝床で一緒に寝たり、息子たちと遊んだり、いつも誰かと一緒にいます」

Youtube/Jill Williams

20歳の高齢になって、最高の居場所を見つけたデクスター。ウィリアムズ一家もデクスターという新しい家族の登場で愉快で楽しい思い出がたくさんできました。でもデクスターがこの家にやってきて2年が過ぎたころ、すでにこの幸せな日々は終わりに近づいていました。

ある金曜日の朝、22歳になっていたデクスターは体調を崩し、餌を食べようとしませんでした。

Youtube/Jill Williams

「朝からずっとデクスターのそばにいて、みんなで順番にデクスターを撫でながらお別れを告げました。午後、デクスターの心臓が止まりました」

Youtube/Jill Williams

家族みんなが悲しみに打ちひしがれました。犬たちも遠くへ旅だった大切な友人を呼ぶように、ドアの外で鳴き始めたそうです。年老いた猫デクスターは、ウィリアムズ一家にかけがえのない美しい思い出を残してくれました。

ジルは、デクスターとの思い出を形にしたいと、お別れのビデオを作って公開しています。

20歳の猫を引取る人はなかなかいないかもしれません。でもデクスターに出会った瞬間の直感に従ったジルの行動は、正しかったのです。デクスターが終の住処を見つけることができて良かったですね。