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ストーリー

【気持ちは分かる】大英博物館の古代メソポタミア粘土板の謎が解けた!と思ったら、その生々しすぎる内容に研究者も苦笑いした。

現代のイラクの一部にあたるメソポタミア地方で紀元前3500年前ごろに誕生したとされる古代メソポタミア文明。「バベルの塔」の由来とも言われる階段型ピラミッド「ジットグラト」を中心に、巨大な都市国家が築かれました。

ハンムラビ法典やアマルナ文書で知られるように、当時の記録媒体や外交文書が象形文字で刻まれた粘土板は、メソポタミアを始め古代オリエントを知るうえで貴重な歴史的資料です。

現在、大英博物館に展示されているこちらの古代メソポタミアの粘土板。紀元前1750年前頃に作成されたこの粘土板が解読された当時、その内容は現代人をザワつかせる結果になりました。

歴史的価値の高い貴重な粘土板に一体何が書かれていたのでしょうか?

解読の結果、明らかになったのは…以下の文章でした。

ナジルへ、ナンニから以下のメッセージが届いています

以前あなたは私にこう言った『ギミル・シンが来れば、良質な銅のインゴットを渡す』と。でも、あなたはその約束を守らなかった。わたしの使者シットシンに粗悪な品質のインゴットを渡したあげく、『欲しいなら持っていけ、いらないなら消え失せろ!』と言ったそうだな。 

一体、私を誰だと思ってる?ほかの客に対してもこんな侮辱的な対応をするのか? あなたに払った金を返してもらうために、丁寧に使者を送ったのに、あなたは何度も彼らを手ぶらで突っ返して、私をさらに侮辱にした。しかも、使者は敵地をかいくぐる危険まで冒しているんだぞ!テルマンと取引している貿易商で、私にこんな扱いをする者はいない。私の使者をバカにしたのはあなただけだ。

たった1銀ミナ(古代ギリシア・エジプトの重量単位)借金してるからって、どんな言動も許されるとでも思っているのか。まったく、どうしたらあんな粗悪な銅を私に渡すことができるんだ? 私の金をとって、敵地でいい気なもんだな。全額耳をそろえて私に返すかはあなた次第だ。今後一切、よほどの高品質でない限り、あなたからは銅を買わないから、心に留めておくように。これからは、インゴットを購入する際は自分の目で厳選することにする。私をここまで侮辱したあなたはもう信用ならないし、今後用心することにする」

なんと、商人に対する顧客からのクレーム内容!おそらく、現存するクレームレターでは最古のものとなるでしょう。 

粘土板の作成は手間がかかります。まず不純物のない泥をこねて粘土状にしたものを板の形にし、数時間かけて湿った状態の粘土に文字を彫り、日干しまたは陰干ししてから窯に入れて焼き、ようやく完成。しかも、割れないように運ばなければいけないという面倒な代物なのです。粘土板に刻んでまで苦情を言いたかったナンニの怒りが3500年以上の時を超え、リアルにビシバシ伝わる文章です。

使者が敵地をかいくぐる云々の記述が当時の情勢を物語っており、興味深いところですね。不良品を摑まされたナンニは無事に返金対応してもらえたのでしょうか?

約束を反故にされた上、幾度の返金要請も無視、ナンニの言い分ももっともかもしれません。それにしても、顧客クレームは今も昔も変わらず存在するのだとシミジミ実感する手紙です。

プレビュー画像: ©︎Twitter@zeroshikiry

【気持ちは分かる】大英博物館の古代メソポタミア粘土板の謎が解けた!と思ったら、その生々しすぎる内容に研究者も苦笑いした。