ジーンとくる話
世界のアスリートが東京オリンピックに抗議声明を発表した。その理由を知って足が震えた。
まだまだ先だと思っていた東京オリンピックも、気がつけばあと2年に迫りました。楽しみにしている人も多くいる反面、膨れ上がる予算や原発問題に対する不信感など、問題が山積みな印象も払拭できません。
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そんな中さらに追い討ちをかけるように、ロンドンオリンピック銀メダリストのドッチィー・バウシュ氏（米国サイクリングチーム）と、平昌オリンピック金メダリストら計9名のオリンピック選手が、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に対してある抗議声明を発表しました。バウシュ氏らは小池都知事とオリンピック委員会に向け、こんなメッセージを発したのです。
「アスリートの食事施設で提供される食べ物が100％のケージフリーの卵と100％妊娠ストールフリーの豚肉から作られることを、私たちは要求します。この目標を達成するために最善の努力をして、あなたの進捗について公に明確に説明してください」
ケージフリーにストールフリー…あまり聞きなれない言葉ですが、一体どういうことなのでしょうか？
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アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、現在世界各国で動物たちに苦痛を与えない飼育方法を模索する試みが進んでいます。実は日本では、88%ものブタが「ストール」と呼ばれる狭い檻に閉じ込められて飼育されているのです。豚たちは座る・寝る・立つ以外はできず、体をひねったり転回することはできません。寝ることはできますが、本来豚がやるように、自然な形で体を横たえることはできないのです。そんな環境に閉じ込められた豚たちは、ストレスのため食べ物が口に入っていないのに咀嚼を繰り返したり、犬のおすわりのようなポーズを取ったり、本来豚がやらないはずの奇行を繰り返すと言います。
YouTube/AnimalRightsCenter Japan
鶏に関しても似たようなことが言え、ケージの中では、羽も広げられず、羽毛が禿げて、月に一度殺虫剤でびしょ濡れにされ、運動もできず、骨がもろくなって骨折を繰り返してしまうのです。しかしそんな動物たちの健康を気遣う人は誰一人いません。なぜなら、どうせ食べられてしまうのだから。
選手たちは、鶏をケージに閉じ込めない平飼い卵か放牧卵＝ケージフリーにし、豚肉は妊娠ストールという母豚を拘束飼育しない農場の豚肉＝妊娠ストールフリーにすることを要求していたのです。
オリンピックはスポーツの最大のイベントであると同時に、社会的な意味も持つイベントです。実は過去の大会を振り返ってみても、アニマルウェルフェアに対しては十分な注意が払われてきました。2012年のロンドン大会では豚のストール飼育は全面禁止。鶏は屋内外を自由に出られる放牧卵以上とされ、ケージ飼育された鶏の卵は使用禁止、屋外には出られない平飼い卵も禁止されていました。2016年リオデジャネイロ大会では、ケージフリーでなくてはならないとされ、放牧か平飼いの卵、さらには地鶏が産んだもので、有機の餌を与えて育てたものでなければならないとされていました。しかしながら来たる東京大会では、明確な基準が定められていません。世界のアニマルウェルフェアの観点からすると、日本は遅れを取っているのが現状なのです。
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選手たちはこう付け加えています。
「東京には、世界中から最高の体験を求めて、たくさんの人がやってきます。東京オリンピック・パラリンピックが食材の方針を改めず、世界が受け入れるクオリティに達することができないなら、畜産動物の福祉の向上を目指している世界から東京が遅れをとっていると見られるでしょう」
いかがでしたか？声明はこちらのウェブサイトからより詳しく見ることができます。この声明に対し、賛同する声もある一方で、自分たちの正義を押し付けるのは傲慢だというような否定的な意見もあります。こんなにややこしい問題が持ち上がるくらいなら、いっそ中止にしてしまえばいいのにというニヒルな意見も。みなさんはどう思いますか？
