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母親は、赤ちゃんとその亡くなった双子の兄の遺灰を一緒に記念撮影する。

ニュージラーンドで2人の娘と夫ハイディと暮らすシェリー・アイルトン。再び妊娠したことに気づいたシェリーですが、今回の妊娠はこれまでとはかなり異なるものでした。双子を妊娠していたのです。二重の喜びに夫婦は心沸き立ちました。

しかしシェリーには、辛い思い出がありました。以前双子を妊娠した際、妊娠初期の段階で1人を流産していたのです。そのため、夫婦は流産のリスクが軽減する妊娠12週目を過ぎるのを待ってから、家族や友人に妊娠を報告します。双子の弟ができるという報告に娘シャーリー(5歳)とフランキー(2歳)は大喜び。妊娠経過は順調に進み、一家は双子の名前を考えます。相談の結果、「ジョニー」と「タイガー」で決まりました。

しかし妊娠20週目、突然この幸せな家族は悲しい現実に突きつけられます。

2017年末、クリスマスの後に訪れた定期検診で超音波検査の結果、担当の産婦人科医が確認できたのはタイガーの鼓動だけ。ジョニーの心臓はその数日前に鼓動を止めてしまっていたのです。シェリーとハイディンは悲しみに打ちのめされました。

「あまりにも辛い試練でした。またしても流産を経験するなんて。双子だった娘の一人を亡くしたのは、妊娠の初期段階でした。今回は数ヶ月もお腹の中で育み、名前も決めて双子が生まれてくる日を心待ちにしていたのに…」とシェリーは辛い胸の内を語りました。

医師は生き残ったタイガーの命を危険にさらすことのないよう、亡くなったジョニーの遺体を子宮内に留めたままにしておくよう勧めました。

お腹の中の息子を守るため、医師のアドバイスに従ったシェリー。しかし、毎回超音波検査で訪れるたびに画面にはっきりと映し出される二度と動くことのないジョニーの小さな体を見るたび、胸を締め付けられる思いでした。

悲劇から数ヶ月後、シェリーはタイガーを出産しました。シェリーにとって、これほど大きな喜びと悲しみが同時に押し寄せた1日はありませんでした。

「2018年5月2日、妊娠38週目にして美しい双子を出産しました。涙と喜びに溢れた1日でした。家族揃って一晩を共に過ごしました。そして翌朝、葬儀場で火葬されるジョニーに別れを告げました」

数日後、ジョニーの遺灰を受け取りに家族は葬儀場へ向かいます。シャーリーは、帰路につく間ずっと弟の遺灰の入った骨壷を大切に抱いていました。

シェリーは友人のフォトグラファー、サラ・シモンズにタイガーの撮影を依頼し、ジョニーの骨壷と一緒に記念写真を撮ってもらいました。子を失った悲しみに暮れる母親の心を汲み取ったサラの写真を見たシェリーは、感極まり涙しました。

「この写真は私たちにとって意義深いものです。サラのアイディアのおかげで、双子の永遠の絆を写真に収めることができたのです」

骨壷を記念撮影するなんて、と中には眉をひそめる人もいるかもしれません。しかしシェリーと家族にとっては双子を一緒に写ったこの写真が救いとなっていることも事実です。

家族が増える喜びと同時に大きな悲しみも味わうことになったアイルトン一家の将来が穏やかで愛に溢れたものでありますように。