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おもしろ・びっくり

蜂の専門家が、住宅の壁の後ろから巨大な蜂の巣を発見!

「蜂蜜の歴史は人類の歴史」という諺があるように、私たち人類は古来より蜂の恩恵に預かってきました。蜂蜜をもたらしてくれるだけでなく、植物や作物の受粉を担う重要な役割を果たしている蜂は自然界においてなくてはならない存在。しかし、そんな昆虫界きっての益虫である蜂ですが、ときには私たちを悩ますこともあります。そう、お尻の針で刺されると痛いだけでなく鉢の毒に対するアレルギー反応を起こす可能性もあるのです。

蜂は時折民家の天井裏や床下などに巣を作ってしまうことがあります。うかつに巣に近づいた住人は敵とみなされ、蜂に刺される可能性があるのです。(ミツバチは普段は穏やかな性質ですが、巣が襲われるとたちまち攻撃的になり、巣を守るため侵略者を一斉に攻撃する習性があります)さらに蜂の巣から出る死骸や蜜によってゴキブリやアリなどの害虫が住み着く可能性もあるため、民家に蜂の巣を見つけた場合は駆除した方がよいとされています。日本では殺虫剤を使った駆除以外にも、一部の業者や養蜂農家、NPO法人などが養殖や蜜の採取のために殺虫剤を使わずに駆除を行い、蜂と巣の残骸を引き取ってくれるケースもあります。

アメリカのある住宅に巣を作ったミツバチ。そこで巣の駆除のため登場したのが蜂専門家のデビッド・L・グローバーです。今年9月、蜂の巣の移転を依頼されたデビッド。彼を待ち構えていたものは、思わぬ「大物」でした。

自らを「蜂に囁く者」と称するデビッドが今回受けた依頼は壁裏に蜂の巣の駆除でした。つまり、レンガの壁内部に作られた巣。簡単な作業ではありません。

「しっくいが欠けたり、レンガが割れる可能性があるから、レンガを取り除く作業は好きではないんだ。今回はレンガの壁の向こうに蜂の巣があるなんて…レンガ一つ一つを外す作業が怖かったよ。ようやくレンガを撤去して巣の全体像が現れた瞬間といったら…実に圧巻だったね!住人は巣が撤去されて蜂ごと引っ越して行ったことに大喜びだったよ」

今回の依頼を受け、現場に赴いたデビッドは真っ先に熱探知カメラで蜂の巣の場所を探し出す作業にとりかかりました。卵から孵化した蜂の幼虫は約34度に保たれた巣内で成長するため、熱探知カメラは巣の発見に有効な方法なのです。

「蜂の巣の他の部分は温度が低めなため、熱探知カメラには映っていません」蜂専門家として9年間のキャリアを持つデビッドは説明します。

まず最初に煙を炊き、巣の入り口付近で羽音を立て飛び回る働き蜂を大人しくさせてから、壁のレンガを壊し始めました。一つ目のレンガを外すと、壁の中から蜂の巣が覗きました。巣の引越しに向けた作業はまだまだ始まったばかり、デビッドは根気強くレンガを一つ一つ外していきます。

徐々に壁の穴を拡大していくにつれ、蜂の巣の全貌が現れ始めました。それは想像を超える超大物でした。専門家のデビッドですら蜂がここまで大きな巣を作ることができることに驚くほどの大きさだったのです。

「息を飲む光景でした。こんなに大きな単独の蜂の巣は見たことがありません。しかも、壁のレンガ部分に癒着していなかったので取り出し易かったです」とデビッド。

少しずつ巣を取り出していくデビッド。吸気管を使い蜂を保護し、移転準備は着々と進んでいきます。今回取り外した蜂のコロニーは地元の養蜂家に手渡され、ハチミツ採取のため飼育される予定です。

デビッドは蜂の巣を駆除しコロニーを安全な住処へ引っ越しさせるだけでなく、駆除作業に取り外した蜂の巣のミツロウやハチミツを販売して収入を得ています。殺虫剤を使って巣ごと殲滅させるのではなく、蜂にも環境にもお財布にも優しい実に効率的な方法です。

養蜂家に引き取られた蜂たちが再び新たな家を作り、旧住まいと同じようにハチミツをたくさん集めることができますように!