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えらい

93歳になった女性はあることを思いつく。その3年後のあまりの姿に世界が驚愕した。

人生100年時代と言いますが、93歳にして、あることを始めたオーストリア人女性が世界中で話題になっています。彼女の名前は、インゲ・ギンズバーグさん。現在はアメリカ・ニューヨークに住むインゲさんですが、一体彼女の何がそんなに特別なのでしょうか。

1922年、オーストリア・ウィーンで裕福なユダヤ人一家に生まれたインゲさんでしたが、ナチスドイツの激しい迫害を逃れ、1942年、母と共にスイスの難民キャンプに逃れ、各地を転々とします。戦争が終わると、インゲさんと夫のオットー・コルマンさんは新しい生活を求めアメリカ・ハリウッドに渡ります。音楽の才能があったインゲさんは、生活の手段として、ナット・キング・コール、ドリス・デイ、ディーン・マーティンなどの同世代のもっとも人気のあった歌手たちに楽曲を提供し始めます。しかし、インゲさんが今注目を集めているのはそれだけが理由ではありません。

YouTube/The New York Times

インゲさんは年を重ねるにつれ、自分の心の中にある思いを、曲や詩にして、より多くの人に届ける方法はないだろうかと模索するようになります。考え抜いた末、93歳でインゲさんはあることをスタートさせます。

その手段としてインゲさんが選んだもの、それはなんとデスメタルでした!インゲさん率いるデスメタルバンド、Inge and the TritoneKingsは2015年、スイス代表としてユーロビジョン・ソング・コンテストに参加、シングル曲“Laugh at Death“(「死など笑い飛ばすのだ」)を披露しました。96歳になった現在も精力的に、デスメタルシンガーとしての活動を続けています。

それにしても、なぜよりによってデスメタル…?96歳のインゲさんには、身体的負担も大きいはずです。インゲさんは、決して風化させてはいけない戦争に対する思いを、世代を超えて伝えていきたかったのです。そのためには何と言っても若いオーディエンスに届けなければならない。デスメタルは、若い層に自分の魂の叫びを届けるための最適な手段だとインゲさんは直感的に感じたのです。

こちらは新曲”The Universe Echoes Back“(セカイは呼応する)のミュージックビデオ。

「しぶとく生きさせてもらう。人類に言いたいことがあるのだ。先祖の知恵を学べ。社会構造の犠牲者になるな。羊みたいに生きるな。その目を開いていろ。がんじがらめの鎖を己で切っていくのだ!」

「あんたがもし嫌悪を示せば、セカイは呼応する。愛を響かせろ。必ずセカイは呼応する。」

「信頼は壊れた。暴君たちが闊歩する。だけど奴らの奴隷にはならない!群れについて行くな。あんた自身の道を行け。あんたの声を響かせるんだ。その怒りを解き放て!」

ウネるギターにインゲさんのアツいメッセージが絡み合い、凄まじい迫力です!

いかがでしたか?93歳から新たな道を歩み始めたインゲさん、今年には米ニューヨーク・タイムズのウェブ版が「デスメタルおばあちゃん」として取り上げ、ドキュメンタリー動画と共に紹介したことで注目度はさらに増しています。

戦時中の大量虐殺を生き抜いたインゲさんが語る「大衆を信じず自分が正しいと思う行いをしなさい」というメッセージは深い説得力を帯びて私たちに響きます。伝えたいことを全て吐き出すまで、インゲさんのデスメタルの旅は続いて行くでしょう。インゲさんのドキュメンタリー動画は以下よりご覧になれますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。