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【画期的!】医師の単純なアイディアが生死を分ける医療ミスを防ぐ

1分1秒を争う医療現場。特に緊急医療や手術の場ではスピーディで正確な判断力と行動力が要求されます。人の生死に関わる緊迫した状況の中、正確かつ迅速な判断を迫られる医師、素早く的確な処置をこなしていく医療関係者たち。しかし、どんなに慣れた医療関係者であっても、ときにはミスを犯してしまうこともあります。ほとんどの医療行為は人の手によって行われるため、医療事故の多くはヒューマンエラーによるものです。

例えば患者の取り違えによる医療ミス防止のため、患者確認をマニュアル化している病院は増えているものの、医療ミスを完全に防ぐには不十分なのが現状です。

オーストラリアの麻酔医ロブ・ハケットは医療ミス防止のため、手術帽に自分の名前と担当を書き込みました。当初は自分の名前を書いた手術帽を被ったロブに対し、同僚の反応は冷ややかでした。

しかし、総勢約20名の医療関係者で構成される手術チームによる医療現場では帽子とマスク姿のチームメンバーを間違えることも決して珍しくはありません。特に手術メンバーの入れ替わりなどで普段一緒に手術を行うことのない医師や看護師が臨時メンバーとなった場合ならなおさらです。

世界保健機関が定めた手術安全チェックリストに従い、手術前に医療チームメンバーは自己紹介を行うことが義務付けられています。しかしながら、長時間に及ぶ手術の間にチームメンバーの名前を忘れてしまったり、手術に集中するあまり、あるいは手術着のため名前が咄嗟に出てこない、といったことは起こりがちです。患者の容体が危機的な状況にある場合、メンバーの名前確認に時間を再度とられたり、また誤って別の担当のメンバーに指示を出してしまうことによって、重大な結果を引き起こしてしまう可能性もあるのです。

また必ずしも全ての医療現場において、手術前に手術安全チェックリストのルールが守られているとは限りません。

「毎回同じメンバー同士で氏名と役割を自己紹介しあうことは正直面倒なのは否めません。実際にルール通り自己紹介が行われると、笑い声すら聞こえることもあります。(私が勤務するオーストラリアの病院では)必ずしも遵守されていないのが現状なのです」とハケット医師。

手術室のチームメンバー全員が名前と担当入りの帽子を着用すれば、緊急の術中にメンバーの名前確認に貴重な時間を割くことなく、よりスムーズに手術に集中することができます。手術中に起きた些細なトラブルから、ハケット医師は手術帽に名前を明記することの必要性を改めて痛感することになります。

「20名の手術チームメンバーで心停止の患者を手術していたときのことでした。手袋すらスムーズに受け取れない状況でした。私に手袋を渡すべき看護師は、他のメンバーを私だと思い込み、間違った人物に渡そうとしていたのです。お互いに一目瞭然で相手が分かれば起こらないトラブルです」とハケット医師。

この試みは医師や看護師の間のコミュニケーションをスムーズにするだけではありません。命に関わる手術という極限状況に身を置く患者にとっても、名前の分かる相手に手術を担当してもらえることで、より安心して手術に臨むことができるのです。

ハケット医師はこの画期的なアイディアを「TheaterCapChallenge」(手術現場帽子チャレンジ)のハッシュタグ付きで投稿、世界各地の医療関係者にこの習慣が広まるように呼びかけています。

ハケット医師のアイディアがより世界中の多くの病院に定着すれば、施術中に無駄なトラブルを招くことなくより手術に集中することができます。単純そうで誰も思いつかなかったこのアイディアが、幅広く普及すると良いですね。