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アンビリーバボー

飛べずに保護された野生のフクロウ…しかし飛べない真の理由を知り獣医は顔が引きつった

森の中でじっと物思いに耽っているかのような姿から「森の賢者」、「森の哲学者」と称されるフクロウ。

寡黙で沈着冷静、森の長老的存在…そんなイメージの一方で、丸みのある体に愛嬌溢れる大きな瞳、昼間はのんびり寝ている癒し系キャラ的なギャップが可愛い、同じ猛禽類でもワシやタカとは一線を画す存在です。

またフクロウは優秀な森のハンターとしても知られています。暗闇でわずかな音でも正確に獲物の場所を把握し、羽音も立てずに接近、獲物を捕らえる技はフクロウの十八番ともいえるでしょう。

しかしそんな森の賢者&ハンターの名を揺るがしかねない珍事が、英国サフォーク州起こりました。

2020年1月、排水溝の中で身動きがとれず、ずぶ濡れ状態のコキンメフクロウの雌が発見され、地元のサフォーク・フクロウ保護施設に保護されました。フクロウは飛ぶことができず、施設関係者は怪我をしているのか翼がぐっしょり濡れてしまったためだと考えました。

しかし…フクロウを診察した結果、驚きの事実が明らかになったのです。

フクロウが飛べない理由、それは怪我でも翼が濡れてしまったためでもありませんでした。そう、なんと超肥満ゆえに重量オーバーとなり、飛ぶことができなくなっていたのです!たかが肥満、されど肥満…おデブ過ぎると鳥も飛べなくなるなんて、体重過多を甘くみてはいけないのは人間に限った話ではないようですね。

保護された当時の体重は245グラム。コキンメフクロウ成鳥の平均体重170グラムと比較すると…70グラム以上重い!本来あるべき体重よりも更に3分の1もオーバーウェイト。かなりのおデブフクロウだったのです。

↓ ちなみにこちらは平均的ボディのコキンメフクロウ

通常、野生に暮らすフクロウがここまで肥満化することはまずありません。そこで、保護施設職員はこのフクロウが飼育先から逃げ出したのでは?と仮説を立て調査したものの、体内にチップは埋め込まれておらず、登録リングの形跡もなく、地元で行方不明フクロウを探す情報もありませんでした。

観察の結果、このフクロウは野生では食べることのない餌のヒヨコには見向きもせず、野ネズミなどの野生のフクロウが食べる餌ばかりやたらと好んで食べることが判明。どうやらペットとして飼われていたのではなく、野生のフクロウだったことが推測できました。

さらに、フクロウが保護された場所には暖冬のおかげで野ネズミが大量に発生しており、豊富な餌のおかげでここまで激太りしてしまったようでした。飛べない豚は…じゃなくて飛べないフクロウが自然界で暮らすことは大変危険です。キツネやイタチなどに捕食されてしまう可能性もあります。

自然界に暮らす野生フクロウにあるまじき体重レベルに達してしまったおデブフクロウ。以前のように自然界で飛べるフクロウ生活に復帰するための方法はただ一つ、痩せるしかない。かくして、施設職員による有無を言わせぬ強制ダイエットライフが幕を開けたのでした。

数週間にわたる栄養バランスを考慮した厳しい食事制限の結果…フクロウは見事、脱肥満に成功。再び飛べるようになったのです!

そしてついに…

本来あるべき健康的で飛べる体重を取り戻したフクロウは、発見された場所で再び野生へと戻されました。なんだか心なしか低空飛行過ぎる気もしますが…とりあえず飛び立ち、無事に自然へと帰ることができたようです。

暖冬続きの昨今、この冬も暖冬となり餌となる野ネズミが豊富になったら、また食べすぎて飛行不可能にならないかが気がかりです。「食べ過ぎは禁物」「腹八分」の重要性を身をもって教えてくれたフクロウ。今後も元気いっぱい健康体で野生ライフを満喫できますように!

プレビュー画像:©️Facebook/Suffolk Owl Sanctuary