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ジーンとくる話

登山中に落雷に打たれた男性。目覚めた瞬間、目前の光景に大声を上げて叫んだ。

アメリカ・コロラド州出身のジョナサン・ハードマンは、ジャーマンシェパード犬のランボーを連れてロッキー山脈にあるビアシュタットの山頂を目指していました。

登頂し、登山者たちは標高4300メートルからの眺めを堪能していましたが、突然雲行きが怪しくなり強い風が吹き始めたため、ジョナサンとロッキーも他の登山者に続いて急いで下山を始めました。しかしその途中、突然周囲が一瞬明るくなったかと思うと、大きな衝撃音と共にジョナサンは地面に叩き付けられました。

ジョナサンは、雷に打たれてしまったのです。

Pixabay

「体中に激しい痛みが走った。目を開けるとサングラスの内側に血が溜まっていて、腕も足も上手く動かすことができなかった」

後頭部に稲妻を受けていたことを、このときジョナサンはまだ知りませんでした。頭部の傷から流血していて頭から肩、そして背中にかけて大きな火傷を負っていました。

他の登山者に助けられながら、大きな岩が洞窟をなしている場所に座り込んだジョナサンは、愛犬の姿が見えないことに気づきます。

自分がさっきまで倒れていた場所を見渡すと、地面で動かなくなっているランボーの姿がありました。何度も名前を叫びましたがランボーは反応しません。ジョナサンは愛犬の元に駆け寄ろうとしましたが、周りの登山者たちがそれを必死に止めようとします。風と稲妻が荒れ狂う外に出るのはあまりにも危険すぎました。

「僕は叫びながら人を振り放そうとしていた。ランボーの名前を叫び続けた」

残念ながら、ランボーはそのときすでに亡くなっていました。ジョナサンが落雷を受けたとき、ランボーはちょうど彼の足元に寄り添って歩いていて、稲妻はジョナサンを抜けてランボーも直撃していたのです。

風と雷が止むのを待って登山者たちは再び下山をはじめました。ジョナサンの怪我は早急に手当が必要だったのと、ランボーの亡骸は重すぎたため、その場に置いて行くしかありませんでした。

病院で手当を受けながら、ジョナサンはいかに幸運であったかを医師から聞かされました。ジョナサンが助かったのは、ランボーがそのとき側にいて身代わりになってくれたためだと言われたのです。ランボーが衝撃の殆どを受けていなければ、ジョナサンは間違いなく命を落としていました。

「複雑な心境ですが、これが人生なのかもしれません。ジョナサンは衝撃的な出来事を経験しました。ランボーがいなければ彼は死んでいたことを考えると、申し訳ない気持ちもありますが、孫の命を救ってくれたランボーに感謝せずにはいられません」ジョナサンの祖母は言います。

「ランボーはとても忠実な犬で、僕の大切なかけがえのない親友だった。毎朝起きたとき、喜んでくれる存在がいることが嬉しかった」

アメリカでは、飼い主の身代わりになった犬としてランボーのエピソードは大きな反響を呼びました。現在ジョナサンは怪我から回復し、新たな人生を歩み始めています。

次の犬をすぐに飼えるようなるかはわかりませんが、子犬の頃のランボーを育てたブリーダーの男性は、新しく生まれてきたランボーの弟になる子犬をジョナサンに是非引き取ってもらいたいと願っているそうです。