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酔っ払いにホトホト悩まされる救急救命士
緊急の病人や怪我人を病院まで搬送する救急救命士。昼夜を問わず通報を受けて現場に急行し、病院へ速やかに搬送しながら同時に救急車内で適切な救命処置を施す、命を預かる緊張感に溢れた仕事です。
しかし、病院に通うタクシー代りに救急車を呼び出す人がいたり、泥酔した酔っぱらいを病院に緊急搬送することもしょっちゅう…ときには搬送中の酔っ払いに口汚く罵られ、暴れる「患者」に暴力まで振るわれることすらあるのです。海外では現場に駆けつけた救急救命士が、病院への搬送を渋る患者本人から攻撃を受けることも決して少なくはありません。
ドイツ、バイエルン州の救急救命士が現場で抱える深刻な問題についてTwitterに投稿。こうした問題を及ぼす急患患者に対して救命士としての仕事を遂行することがいかに困難であるかについて言及しています。
大量の花火や深夜のパーティでドイツ全土が賑わう大晦日の夜の翌朝、1月1日にTwitterに投稿された一文から、緊急救命士の切実な心の声が伝わってきます。
Liebe Betrunkene (und sonstige) Gewalttätige,
langsam hab ich wegen euch echt die Schnauze voll!Man fährt nachts bei Wind und Wetter raus, um euch zu helfen. Egal wem und aus welchem Grund.
Wir sind die, die euch aus dem Dreck ziehen, egal wie besoffen und vollgekotzt ihr seid.— Flow (@Caethan13) January 1, 2019
「酔っ払い(とその他の)暴力行為を行う急患の方々、
もうあなた方には心底ウンザリしています!
どんな悪天候だろうが夜中に車で走行する酔っ払いの方々。誰であろうとどんな理由があろうと、関係ありません。
あなたがどんなに泥酔して嘔吐にまみれていようが、あなたを泥の中から引っ張り出して救出するのは私たちなんですよ」
この一文に続き、救命士は以下の内容も投稿しています。
「私たちはあなたが嘔吐物で窒息しそうになっているところを救命したり、 故意で、或いは間違えて大量の薬物を摂取した際に応急処置を施して救った者です。自暴自棄になって自傷行為をしたあなたの手当てをした者です。あなた方のために、深刻な急患患者にまでケアが行き届かないことがあります。
任務を果たしても感謝されることもない日常に私たちは慣れっこです。しかし、この現状は大いに議論の余地があるはずです。酷い状態や不全症状を起こしているにも関わらず病院に搬送されたくないというのなら、搬送中に私たちに罵詈雑言を吐き暴力を振るうのではなく、医師の忠告を無視して緊急救命室や病室から帰宅すればいいではないですか。救急救命士に対する暴力行為は日常茶飯事となりつつあります。
渾身の力で暴れるあなた方に暴力を振われ、私たちの我慢も限界に達しそうです。医師や看護師、救命士や消防士が懸命に助けようとしている相手から身の危険を感じなければいけないなんて、どうかしています。
こうした急患患者による暴力行為の根底にある原因は、社会がより暴力的になっているからなのかもしれませんが、本当の理由は私には分かりません。いずれにせよ、年々こうした非人道的な暴力行為に接する機会が増えていることは確かです。どうしてこの仕事をしているんだろうと、自問自答することすらあります。
幸いにもこうしたネガティブな側面はあるものの、やり甲斐を感じることもあり、なんとかやってこれています。しかしこれ以上、暴力行為のハードルを下げてはならないはず。私たち救命士だけでなく、誰もが暴力行為に巻き込まれる可能性はあるのです。私たち一市民が勇気を出して、暴力を許さない社会を心がける、または単純に暴力に訴えるという愚かな振る舞いをしないことで世の状況は変わるはずです。お互いに助け合い、救命士たちに無事に任務を遂行させてください。
心の中でずっと悶々と抱えていたことを吐き出させてもらいました。暴力的な急患患者の被害に遭っていたところを幾度も救ってくれた警察官には心から感謝しています。
私の投稿に対して多くのご理解をいただき、ありがとうございます。もちろん、ほとんどの急患患者は穏やかで協力的な方々ばかりです。どの社会でもあるように、ごく一部の人々の愚かな行為がその他大勢の平和な日常を台無しにするのです。私は自分の仕事が好きです。救急救命士という仕事に誇りを持っており、天職だと思っています」
救命士の現場からの切実な声に、何千もの人々から賛同が寄せられました。暴力が容認される社会ではなく、互いに助け合う思いやりに満ちた社会を築き維持するためにも、こうした現場の声に敏感に耳を傾けていきたいですね。