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食肉になるはずだったブタを家に連れて帰った南アフリカ人女性。ある日そのブタが口に咥えたものを見て目を疑った

いつの時代も、素晴らしい芸術家はいるものです。その作品は私たちを魅了してやみませんが、芸術家が過酷な人生を強いられていたケースは枚挙にいとまがありません。スペイン内戦中にゲルニカを発表したピカソはその最たる例でしょう。むしろそういった苦境こそが作品を生み出すエネルギーになっていたに違いありません。さて、今回紹介するのも、死の運命を免れて自分の天命を悟ったある南アフリカのアーティストの話です。

南アフリカのあるブタは、養豚場で生まれて、そのまま屠殺され食肉になる運命でした。しかし生後4週間でその運命は大きく変わります。南アフリカで農場を営む女性ジョアン・レフソンがその可愛らしいブタを引き取ったのです。

ジョアンは、新しい自由な生活に慣れさせるため、サッカーボールやテニスボールで遊ばせてみましたが、ブタは見向きもしませんでした。体育会系ではなかったのです。その代わりブタは全く違うものに興味を示します。

ある日ジョアンは一心不乱に頭を振り続けるそのブタの姿を発見します。一体何をしているのかと思って近づいてみると、そこに広がるキャンバスの上に、縦横無尽に咲き乱れる筆のストロークが…そう、口に筆をくわえて、絵を描いていたのです!

アクティビティの一環として絵を描かせてみたことはあったものの、まさかこんなにも気に入ってしまうなどとは想像もしていませんでした。

飛び散る絵の具も気にせず、何かに取り憑かれたように創作を続けるその姿はまさにアーティストそのもの。ジョアンはそんなブタを有名な芸術家にちなんで「ピカソ」と命名します。ちなみに綴りは本家のピカソとは異なり“Pigcasso“で、“pig(ブタ)“がさりげなく織り込まれています。

ピカソの作品は巷で徐々に話題になり、世界で最もアートが盛んな地区であるニューヨーク、ニュージャージー、ドイツなどを含む数カ国から作品購入希望者が続々と現れ始めます。現在までで44作品ほどがすでに売れており、最高の値段で売れたのは『ロックスター』という作品で、2万3500ランド(約20万円)でした。

朝と晩の決まった時間に必ずキャンバスに向かうその姿は、プロとしての自覚を感じさせます!

ジョアンによると、ピカソは社会問題をキャンバスに表現することに凝っており、最近はブレグジット(欧州連合からのイギリス脱退)をテーマにした作品を完成させ、ピカソの最高傑作となったと語っています。確かに、イギリス国旗を思わせる巧みな色使いです。

YouTube/ News24

そして2018年1月、南アフリカのケープタウンで個展を開催する運びとなったのです!ピカソは歴史上初めて個展を開催した非・人間のアーティストとなりました。この稀有なアーティストの作品を一目見ようと、会場には多くの人が詰めかけ大盛況だったようです。

過去に絵を描く動物の例は何件か報告されていますが、ブタが絵筆を持つのは非常に珍しいことです。ジョアンは、ピカソが南アフリカのブタたちを代表する「声」になって欲しいと願っています!

いかがでしたか?実際にピカソが絵を描いている様子は以下の動画からご覧になれますので、興味のある方はぜひ視聴してみてください。ブタのピカソは、死の運命を逃れ、「表現する」という自分の使命をはっきりと自覚していたのかもしれませんね。