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ジーンとくる話

命がけで飼い主の子どもを守ったピットプルの子犬

犬は忠誠心の強い動物です。これほど人に忠実な動物は他にはいないことでしょう。飼い主への犬の愛情がどれほど深いかを物語る悲しい事件が、アメリカのフロリダ州サムター郡で起こりました。

10歳のオーライリーくんが生後8ヶ月のピットプルの子犬「ゼウス」と庭で遊んでいたときに事件は起こりました。突然、ゼウスがオーライリーくんの方に飛びかかってきたかと思うと、口に何か伸びたものを咥えて振り回しました。オーライリーくんはゼウスがロープで遊んでいるものと思っていました。しかし、兄のオライオンくんが、ゼウスの様子がおかしいことに気づき、父親のゲイリー・リチャードソンさんに知らせました。ゼウスを調べてみると、頭がひどく腫れていました。まもなくリチャードソン夫妻は謎の腫れの原因を発見しました。

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最初はゼウスが蜂を食べたのかと思っていましたが、母親のジョージナさんがゼウスの身体をどけると、地面に細長いカラフルな蛇が死んでいました。どうやら、ゼウスは蛇がオライリーくんの方へ這って行くのを見て、友を守るために蛇にかみついたようでした。強い毒を持つそのヘビはゼウスを何度も噛んでいました。兄弟はゼウスを噛んだ生き物の正体を知ってパニックになりました。ゼウスの命を救うには一刻を争うことがわかったからです。

ジョージナは弱ったゼウスを車に乗せて獣医に連れて行きました。しかし残念なことにその病院には血清がなく、血清のあるクリニックはリチャードソン家から1時間近くも離れていました。クリニックに到着するとすぐに迅速な治療が施され、すぐに血清2本が注射されました。

ゼウスの容態は次第に安定していったように見えました。ビデオチャットを通して、家族は一晩中、小さなヒーローを励ましました。「彼はいつもおしゃべりをしながら眠っていたの。家族の言葉になんとか反応して睡魔と戦いながら」とジョージナは回想します。しかし、ヘビの毒は想像以上にゼウスの体を蝕んでいました。翌朝6時半、ゼウスは毒との戦いに敗れ、息を引き取ったのです。

リチャードソン夫妻は子供たちと一緒に、愛する友ゼウスに別れを告げました。そして、ゼウスの母犬もその場でゼウスにお別れをしました。ジョージナは別れの写真をFacebookに投稿し、「私たちは皆、打ちのめされています。ゼウスは息子を守るために命を捧げてくれました。彼には一生感謝します」と書きました。

ゼウスはまだ生後8ヶ月でしたが、家族想いで勇敢な心を持っていました。家族を守るために命を捧げたゼウスの高額な血清費用を支払うため、リチャードソン夫妻は寄付ページを開設しました。無私の英雄ゼウスのストーリーは多くの人々の心を打ち、すぐに寄付は目標額に達しました。

ピットプルはどう猛な犬種として知られています。ゼウスの悲劇的な物語は、ピットブルのこうした悪評に一石を投じるものでした。「ピットプルは適切に飼えば、飼い主に命を捧げるほどに愛情深く忠実な友となるのです」とジョージナは語っています。リチャードソン兄弟は命がけで彼らを救った小さな英雄を決して忘れないでしょう。