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えらい

彼女は妊娠9ヶ月の時 夫に腹を蹴られ捨てられた それから40年後 女性が夫にしたことが信じられない

インドのスラム街で貧しい人たちや孤児のために献身的な活動をした女性といえば、マザー・テレサを思い浮かべる人が少なくないはず。しかし自らも絶望的な環境に置かれながら、1000人を超えるストリートチルドレンを育てあげ「インドの母」と慕われるシヌタイ・サプカル(Sindhutai Sapkal)の名は、インド国外では残念ながらあまり知られていません。

シヌタイは1948年11月14日、インド西部マハーラーシュトラ州の小さな村で生まれました。家は貧しく、彼女の存在を鬱陶しく思っていた母には「ぼろ布」というあだ名をつけられました。学校には小学校4年生までしか通うことを許されず、10歳になったシヌタイは当時30歳の男と結婚させられてしまいます。それでもシヌタイは家を出られることが嬉しかったといいます。娘に教育の機会を与えることを頑なに拒んだ母のもとを離れ、夫が教育を受ける機会を与えてくれると信じていたからです。

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しかし、それはまだ幼い少女の夢物語に過ぎませんでした。20歳年上の夫は、他人が所有する牛を放牧することを生業としており、自身も教育を受けたことなど一切無かったため、シヌタイを学校へなど行かせてはくれませんでした。それからというもの、シヌタイは昼も夜も牛のフンを集める仕事をさせられ、家に帰れば夫の暴力に晒される毎日を送っていました。

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そんな結婚生活が10年も続き、シヌタイの心は徐々に怒りで満ちていきました。フン集めの仕事に対する賃金を一度も支払われたことがなかったからです。そこで彼女は牛を所有する農家に抗議することにしますが、この行動が恐ろしい事態を招くことになります。

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当時20歳だったシヌタイは妊娠9ヶ月でしたが、賃金を要求したことに逆恨みした農家の1人が「お腹の子は俺の子供だ」と夫に嘘をついたのです。逆上した夫はすでに大きかったシヌタイのお腹を思い切り蹴り飛ばし、瀕死の状態になるまで暴力を振るった挙句、意識が朦朧とする彼女を家のすぐ側にある牛小屋に置き去りにしたのです。

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その後、シヌタイは意識を失ってしまいましたが、幸いにもお腹の赤ちゃんは無事でした。そしてその日、シヌタイは無意識のまま牛小屋で娘を出産。意識が戻ると同時に、側にあった石でへその緒を切り落とし、赤ちゃんを抱いて数キロ先にある実家まで歩いて助けを求めにいったのです。しかし、シヌタイにとって唯一の理解者であった父はすでに他界しており、母はシヌタイを助けてはくれませんでした。

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実家に足を踏み入れることすら拒否されたシヌタイは、生まれたばかりの赤子を抱えたまま途方にくれ、自殺することすら考えました。しかし、自分の腕の中でスヤスヤ眠る愛娘のために生きることを選択します。実の母に捨てられたシヌタイは、娘にママタ(母の愛)という名を授けました。

シヌタイは赤ん坊を養うために駅のプラットホームや電車の車内で賛美歌を歌って物乞いをしてお金を稼ぐようになります。シヌタイはこの時、若干20歳。しかし辺りを見渡すと、自分よりもっと幼い子供たちが物乞いをしている光景が目に入りました。そして自分と同じように親に捨てられたストリートチルドレンを不憫に思ったシヌタイは、彼らの母親になることを心に誓ったのです。

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それからというものシヌタイは捨て子を自らの手で養いはじめます。病気を患っている子どもには医師の診療を受けさせ、お腹が空いている子どもには食料を与えました。日を追うごとにシヌタイが養った子どもの数は数十人、数百人と増えていき、彼らの寝場所を確保するためには寺院や墓地の管理者と交渉する事もいといませんでした。

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それから数十年間シヌタイは誰の力も借りず、物乞いをしながら1400人を超える孤児を貧困から救い続けました。そんな彼女を人は尊敬の念をこめていつしか「mai(おかあさん)」と呼ぶように…。子どもたちに対するシヌタイの支援は彼らの教育や結婚にまで及び、養子に迎えた子どもたちの中にはエンジニアや弁護士、医者になった人もいます。

そんなシヌタイが50歳になった年、彼女がとったある行動に周囲の人間は驚かされます。なんと長い歳月を経て彼女のもとへ戻ってきたあの暴力的だった夫を許すことにし、当時すでに大勢の孤児の母となっていた彼女は、夫を1番上の息子として養子に迎え入れたのです!人を思いやる気持ちを常に持ち続けたシヌタイだから成し得た偉業といえるかもしれません。

シヌタイは自らの人生を振り返り「わたしには誰もいなかった。皆がわたしを捨てたんです。でもだからこそ独りぼっちで、誰にも必要とされないことの辛さが理解できるのです。そしてほかの人には、そんな思いをさせたくないのです」と語っています。彼女の鋼の精神と広い慈悲の心は、世界中の多くの人々に生きる力を与えてくれます。

プレビュー画像: / © Facebook/Shubham Wankhede

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