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トリビア

【緊急事態宣言発令】東京脱出して地方の実家に戻る? 1ヶ月前のイタリアに学ぶ 絶対に帰ってはいけない理由

4月7日、政府は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を発表。東京や神奈川、埼玉県など7都府県で5月6日までの期間、指定地域の知事は法的根拠をもって住民や企業などに対し外出やイベントの自粛それに休校などの要請や指示を出すことが可能となりました。

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国内での爆発的な感染の拡大を防ぐため、国民の協力が不可欠であるとして発表した緊急事態宣言。しかしこれを受け、皮肉にも感染拡大を加速させかねない行動が広まりつつあるのではと懸念されています。

現在、日本では「#東京脱出」「#コロナ疎開」などのハッシュタグがTwitterなどのSNS上で急速に拡散。疎開先の地方や出身地で家族や知人を介して新たな小規模クラスターを多発させる危険もあると指摘されており、里帰りや疎開により新型コロナウイルスを地方へ運んでしまう恐れがあると懸念されているのです。

リモートワークでネット環境さえあれば帰郷先でも勤務可能、学校は休校。急速な感染拡大が続く都内にいるよりも、感染者が少なく比較的安全とされる地方の地元に一刻も早く戻って家族と一緒に過ごしたい…そんな心境から東京を脱出しコロナ疎開に踏み切ろうとする心理も理解できます。しかしだからといって現在の段階で地方に避難することが取り返しのつかない悲劇をもたらす可能性があることを今一度知っておく必要があります。

 

感染が急速拡大する都市部から地方の故郷へと戻ったために引き起こされる悲劇、それは1ヶ月前のイタリアを参考にすれば容易に予測ができます。

3月8日、イタリアのロンバルディア州(州都:ミラノ)は新型コロナウイルスの感染拡大により封鎖。この強硬措置から逃れるため、大勢の住民たちは車や列車で封鎖直前の街から一斉に脱出。感染者の少ない、あるいはほとんど確認されていない地方の実家へ避難したのです。

欧州の中でもとりわけ家族の絆が強く、家族と一緒にすごす時間が圧倒的に長いとされる「家族愛の強い国民性」ゆえか、不安な状況を家族のもとで過ごしたいと多くの一般市民が故郷へと急ぎました。

しかし、この行動が新たな悲劇をもたらすことになります。感染拡大地域の住民がコロナ疎開した結果、感染がさらに拡散。感染に気づかず帰省したことにより、大切な家族をウイルス感染させてしまう事態を招いてしまったのです。

当初はロンバルディア地方に集中していた感染者は、その後一気にイタリア全土に拡大。 感染者数は爆発的に増加し、4月8日現在で確認された感染者数は13万5千人を超え、死者数は1万7千人以上となりました。

Crona virus

ニューヨークタイムズがまとめたグラフではイタリア全土に感染が拡大していく様子を時系列で見て取れます。

イタリアでは3世帯同居も多く、コロナ疎開した孫や子供によって年老いた両親や祖父母が感染し、命を落としてしまったケースも数多く報告されているようです。

Italy

先行きが不安で困難に満ちたこの時期を家族と過ごしたい…家族の強い絆ゆえの行動が皮肉にも愛する家族を失うという、取り返しのつかない悲劇を招いたのです。自ら感染源となってしまった人の苦悩と家族を失った悲しみを想像すると胸が痛みます。

急速に感染者が増加している現在、今後爆発的な感染拡大による医療崩壊が懸念されています。特に、医療施設の少ない地方で感染が急速に拡大した場合、医療インフラが耐えられる可能性は都市部に比べ低い傾向にあります。

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新型コロナウイルスは人を介して感染拡大します。自身がうつらないためには、そして他者にうつさないために、今私たちにできることは何か、真剣に考えるときにあります。

誰だって感染者になりえる現在、「自分が家にいることで救える命があるかもしれない」ということを常に意識して、行動することが大切です。感染拡大防止は一人ひとりの協力があってこそ効果を発揮します。無駄な外出を控え、爆発的感染を防ぎましょう。

tokyo