狼と犬の交配種であるウルフドッグ（狼犬）。狼を彷彿とさせるその野生的な外見が独特な魅力を放つ珍しい品種です。狼の血が75%以上のものは「ハイパーセント」と呼ばれ、より狼に近い外見のため好まれる傾向にあります。特に、アメリカでは近年、こうしたウルフドッグの人気はうなぎ上りの傾向にあります。
アメリカ当局は現在、ウルフドッグを保護するため厳格な規制条件を課しています。野生動物の交配種として飼育管理されるべきとして、ウルフドッグの飼い主には適切な環境で飼育することが求められているのです。実際にアメリカの40州ではこうした野生動物の交配種の飼育および繁殖は禁じられています。
とはいえ、野生的な美しい姿が印象的なウルフドッグは多くの人々を惹きつけて止みません。家犬とは一風異なるワイルドな瞳にモコモコの巨大が魅力的なウルフドッグ17画像、なぜ家犬として飼育することが難しいのか理由とともにご覧ください。
1. 自宅で室内犬としてウルフドッグを飼育したがる人は多いものの、最終的にウルフドッグは施設に保護されるケースが後を絶ちません。
2.人間に慣らすため、ウルフドッグの子犬の訓練は生後3週目から始まります。しかし野生の特質ゆえ、ペットとして飼育するには適していないのが現状です。
3. チェコスロバキアでは国境警備の警察犬としてウルフドッグが任務についています。シェパードとカルパティア狼の交配によって生み出されたこの犬種は、標高の高い極寒の地での警備に適した特性を備えています。
4. 狼は本来小型の動物を狩る狩猟本能があるため、ウルフドッグを他の犬と一緒にすることは大変危険です。
5. シベリアオオカミとジャーマンシェパードの犬の交配から生まれた「サーロス・ウルフハウンド」はオランダ原産のウルフドッグの一種です。
6. 大きくなりすぎたからという理由で、飼い主によって殺処分のため施設に送られたこちらのウルフドッグ。幸いウルフドッグ救済団体によって救われました。遺伝子検査の結果、このウルフドッグは87.5％狼、8.6％ハスキー、3.9％のジャーマンシェパードの交配であることが判明しました。
7. シベリアやアラスカなど寒冷地に生息する狼は寒さから身を守るため、毛量も多めです。なので….抜け毛の時期になると、この通り。
8. 比較的内気な狼の性質はウルフドッグにも受け継がれています。また、ときどき見られる攻撃的な行動も、狼の血ゆえです。
9. 獲物を求め1日に50キロも移動する狼。ウルフドッグも1日にかなりの運動量を必要とするため、活動量の少ない室内犬と同様の飼育はほぼ不可能です。
10. こちらはアイルランドウルフハウンドと世界最大のオオカミ種であるティンバーウルフを掛け合わせた犬種、「ホートン」です。
Imgur/lover42069CAPTAINAMERICAisCANONICALLYBISEXUALANDLOVESBUCKY
11. 何かを伝えたいとき、注意を引きつけたいとき、犬は吠えます。一方、狼は吠えずに遠吠えをして遠く離れた仲間とコミュニケーションをとっています。
12. こちらの画像の２頭はどちらもウルフドッグですが、右側はどちらかというとハスキー寄り、左側は見るからに狼といった外見です。このようにウルフドッグは見た目で判断することが難しいこともあり、当局が飼育を禁止する措置がとりにくい原因となっています。そのためウルフドッグの判定には遺伝子検査が用いられています。
13. 最近の研究によると、狼の黒い毛色は家犬との配合によってしか生み出されないことが判明しました。つまり、狼と犬の自然交配は昔から幾度となく繰り返されていたということを示しています。
14. 大自然マニアのケリー・ランドとウルフドッグのロキ。北アメリカの大自然を舞台にケリーとロキが繰り広げる冒険の物語はこちらのInstagramから見ることができます。
15. 実は狼はとってもコミュニケーション力に優れた動物です。60以上もの表情を使い分け、仲間と意思疎通を図っているのです。一方、犬が使い分ける表情は4から5つと言われています。
16. 多くのウルフドッグの振る舞いパターンは複雑です。というのも、飼いならされた犬ならではの性質は人間との親密な関係を求めるのに対し、狼由来の野生的側面は人間を拒絶する傾向にあるからです。人とウルフドッグのコミュニケーション上の問題はときに深刻な事態を招くこともあります。
17. ソビエト連邦が崩壊した1990年代初頭以来、ロシア軍は国境警備にウルフドッグを採用してきました。
行動科学者によってこれまで幾度もウルフドッグを家犬のように飼いならす試みが繰り返されましたが、そのほとんどが失敗に終わっています。その理由として、ウルフドッグとのコミュニケーションが困難である点が挙げられます。犬が40,000年の長い時間をかけ人との関係を築き、人間の表情を読み取る能力を身につけていったことを考慮すれば、ウルフドッグと人との意思疎通がそう簡単にいかないのは無理のない話かもしれません。
もともと家畜でない野生の動物の生態を無視してペットにしようとすることは、人間のエゴなのでしょう。
