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ジーンとくる話

【人と象の絆】命の恩人に赤ちゃんを見せに訪れたお母さん象

「象は決して忘れない」と言う英語のことわざがあるように、象は記憶力の優れた動物です。何十頭にも及ぶ群の仲間たちの匂いや姿を覚えるだけでなく、他の生き物についても記憶し、死別や離別で数十年以上会うことがなくても忘れることはありません。

メスの象ロイジュクはケニアの動物愛護団体Sheldrick Wildlife Trust の職員がしてくれたことを忘れることはありませんでした。2006年、当時生後5ヶ月だったロイジュクは1頭でさまよっているところを愛護団体職員によって発見、保護されました。

Youtube/dwtskenia

野生に暮らす生後5ヶ月の赤ちゃん象にとって、保護してくれる母象や群れからはぐれるということは絶体絶命のピンチであり、死を意味します。愛護団体職員はロイジュクを保護施設に連れて帰りました。自力での野生生活に十分適応できる年齢に成長するまで、ロイジュクは施設で飼育員らに見守られて育ちました。

それ以来、ロイジュクと施設の飼育員らは強い絆で結ばれ、14歳になる今もロイジュクは定期的に施設を訪れ「面会」に来るそうです。しかし今回、飼育員の前に現れたロイジュクは予期せぬサプライズを同伴していました…なんと、生後間もない赤ちゃん象と一緒だったのです!

Youtube/dwtskenia

どうやら赤ちゃん像は生まれてまだ数時間しか経過していないらしく、足取りもおぼつかない様子でした。ロイジュクは飼育員に赤ちゃんを紹介するため、産後すぐに施設を訪れたのです。

Youtube/dwtskenia

「リリー」と名付けられた赤ちゃん象を優しく撫で、挨拶する飼育員のベンジャミン・キャロをロイジュクは満足そうに見守ります。お世話になった人をずっと忘れない象と元飼育員の美しい光景です。

Youtube/dwtskenia

「何にも代えがたい素晴らしい出来事です。かつて救った孤児の象が、こうして家族を持つことができたのですから」とSheldrick Wildlife Trustの代表者ロブ・ブランドフォードは語ります。

こちらの動画から赤ちゃんを連れて施設を訪れたロイジュクと飼育員の触れ合いシーンを視聴することができます:

19世紀初頭には約1000万頭もの象がアフリカ大陸に生息していましたが、現在は約40万頭にまで個体数は減少しています。象牙を狙った密猟により、陸上最大の哺乳類は絶滅の危機にさらされています。

人間の優しさに優しさで応えてくれる、この素晴らしい動物が今後、アフリカの大地で平和に暮らすことができるよう願うばかりです。

プレビュー画像:©︎Youtube/dwtskenia